専門家5名が徹底討論!「グルメサイト後の飲食店検索プラットフォームラウンドテーブル」イベントレポート①

トピック①「グルメサイト」は何が問題なのか?

TableCheck

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2022年12月10日 - 5 min read

専門家5名が徹底討論!「グルメサイト後の飲食店検索プラットフォームラウンドテーブル」イベントレポート①

9月13日に開催した、これからの飲食店検索について専門家5名で議論した勉強会イベント「グルメサイト後の飲食店検索プラットフォームラウンドテーブル」の模様をお伝えします。

グルメサイト離れが加速していると言われる昨今、次の飲食店検索のスタンダードを築いていくプレイヤーは、Googleなのか、Instagramなのか、それとも新しいサービスが登場するのか。プラットフォームに依存するリスクや活用の可能性などを、各分野の専門家5名で議論しました。

飲食店、ユーザー双方に受け入れられる飲食店検索プラットフォームとは?

ぜひ最後までご覧ください。

登壇者プロフィール

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株式会社mov 口コミコム事業戦略部 部長 新井 勇作氏
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株式会社韓流村 代表取締役 任和彬氏
3
慶応義塾大学 経済学教授 坂井豊貴氏
3
日経ビジネス 記者 鷲尾龍一氏(ファシリテーター)
5
株式会社TableCheck 代表取締役社長CEO 谷口優

トピック①「グルメサイト」は何が問題なのか?

経済学者が教える「レーティング(点数評価)」の本質的問題

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鷲尾:そもそもグルメサイトの点数や評価はどのように決まるのか。まずは坂井先生に経済学的な知見から、レーティングについて解説していただきたいと思います。

坂井:ありがとうございます。私は経済学者として、レーティングの関数の設計、またビジネス実装にも関わっております。

ここでは「そもそもレーティングとはなにか?」という話をしたいと思います。

そこでレーティングの例をいくつかあげてみます。

最も身近なレーティングの例でいえば、学校で学習の成果を期末試験の点数で評価することです。その生徒がどれぐらい勉強したか、人間の脳の中は覗けません。だから試験という形で点数化するわけです。あとは偏差値もレーティングですね。

飲食店の質を食べログの点数で評価するのも有名なレーティングです。また一国の豊かさを何かの数字で表そうとする場合、レーティングはGDPになりますし、所得格差を表すレーティングには、ジニ係数というものがあります。

つまり「複雑なものを数で代替的に表してみる」これがレーティングの本質です。

大幅な単純化をしているので、最初からかなり無理なことを行っていると言ってもよいでしょう。単純化をして失うものは山ほどあります。数字だけ見ても、お店がどういう店かなんて分かるわけはない。

では、レーティングが無意味かと言うと、そんなことはありません。これは例えばなんですが「スペインとクェートのどちらが豊かか?」という難しい問いもGDPの比較で単純に把握できるようになるなど、利点も多くあるわけです。

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坂井:しかし大切なのは、そのレーティングの手法が適切かどうかです。

レーティングで分かるのは、いわば「最大公約数」です。大まかな性質は分かったとしても、ひとつひとつの個性は分からない。実際にGDPのように「そのレーティングの手法ではダメ」と根強い批判を受けているものも多くあります。ただ政策を決定するときには、社会の状態は、なんらかの数字で把握することが不可欠ですし、レーティングは経済学でも重要なテーマとなっています。

ところがここ10年、20年ぐらい、インターネットの普及にともなってレーティングが世の中で存在感を持ち始めるようになりました。私自身もインターネットで使用されているレーティング関数の設計をこれまでいくつか手がけています。

レーティングは万能ではありません。うまく設計すると、良い店を選ばれやすくするという重要なサービスです。一方で誤ったレーティングをしてしまったら、悪貨が良貨を駆逐する事態を引き起こして起こしてしまう。

では、「まともなレーティング」とは何か?

これは後ほど、任社長から詳しく述べられますが、食べログ訴訟で原告側が求めたことは、「レーティングに差別がないこと」だと思うんですよね。

点数をつける時にチェーン店をチェーン店であるというだけで、点数下げるような差別的な取り扱いはやめてくれという”フェアネス”を訴えたわけです。意外とこの点がまだ世の中で知られていないな、と思っています。

そしていまだに不適切なレーティング実装をしているサービスはたくさんあるんですね。GDPで国の豊かさを測ることは不適切であるという説もありますが、より身近な例でいえば、Amazonの点数では少数のアンチが不当に低評価をつけて、平均点をガクンと下げることができる。

僕の本「多数決を疑う」のAmazonのレビューも10パーセントぐらいは星1つで、「この人、絶対に読んでないだろ」という人が、めちゃくちゃなレビューを書いて平均点を落としているわけですよ(苦笑)。

専門家からすると、こういう不具合はわりと簡単に改善できるんですが、プラットフォーマーは、ほとんど対応してくれません。僕自身が既存のレーティングには、不満を感じることも多いですし、不公正なレーティングが権威を持ってしまうことは、すごく危険なことです。これはグルメサイトにも共通して言えることです。

グルメサイトからオウンドメディアへ。進むグルメサイト離れ

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鷲尾:グルメサイトの中でも大きな存在感を持つ「食べログ」ですが、テーブルチェックの調査では、そこに最近では変化がみえてきていると。

谷口:結論からいえば、グルメサイトの予約の割合は、年々低下傾向にあります。

当社の予約データから作成したグラフ(グラフ図①)を見ると、コロナ前の2019年と現在を比較すると、公式ウェブサイトからの予約と、GoogleやInstagramがじわじわ伸びているのがわかります

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グラフ①2019年1月1日~2022年6月15日 1店舗当たりの予約人数月週平均推移
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(グラフ図②「公式ウェブ予約(=TableCheck)とグルメサイトからの予約人数推移)

そしてこちら(グラフ図②)は、グルメサイト予約と公式ウェブ予約(=テーブルチェック)の推移なんですけれども、長年拮抗していましたが、2022年に入ってからは公式ウェブ予約が上回って推移するようになったのが、今年の特徴的な動きです。

グルメサイトとお店の利害関係は、必ずしも一致しない部分がある。テーブルチェックでは、お客さんが予約をしてもお店側から送客手数料をいただかないですし、顧客情報もお店に帰属するというやり方をしていますが、グルメサイトはそうとも限りません。

このコロナ禍では客足の減った飲食店が、様々な施策を講じてこれまで来てくれたお客さんに再来店を促そうと試みたと思うんです。しかし、いざ蓋を開けてみたら「グルメサイトからの顧客データが使えない」という事実に初めて気づいたケースも多いと思うんですよね。それで顧客データを活用できる予約システムの導入が進み、グルメサイトの依存度を下げる飲食店が増え、公式ウェブ予約、つまりオウンドメディアの活用が進んでいるというのが、コロナをきっかけに変わってきたといえます。

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食べログ裁判の争点〝チェーン店ディスカウント〟とは

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:飲食店を営む立場からすると、グルメサイトは飲食店とお客様を繋げてくれる非常にありがたい存在です。近年はグルメサイトも非常に便利になり、店舗の情報をより多くの消費者に知ってもらい、既存客には再来店にもつながる集客の機能を担っています。

かつては口コミが広がるまでにとても時間がかかっていましたが、それが今や良い店でも悪い店であっても一気に広がる。これは非常にありがたいことです。

そのためにはグルメサイトは常に中立で公平公正であることが大前提だと思うんです。レーティングの設計だけでなく、飲食店側にとってもグルメサイトを使用する際に負担にならないような料金、適正な料金体制は非常に大事だと思うんです。

もちろんサービスを提供するグルメサイト側も適正な利益を得るべきであって、それ以上の利益が発生した場合は、消費者や飲食店に対しても還元して、外食産業のみんながウィンウィンであるのが理想だと思います。

そして、訴訟になった理由というのは、まさにそこです。私たち韓流村は「食べログ」が、私たちの運営する焼肉店「Kollabo」がチェーン店であることを理由に不当に点数を下げ、売上に影響を及ぼしたとして運営会社のカカクコムを訴えました。

結論からいえば、東京地裁は6月16日、私たち原告側の主張を認め、カカクコムに3840万円の賠償を命じました。東京地裁は賠償を命じる理由として、アルゴリズムを一方的に変更することは「優越的地位の乱用」を禁じた独占禁止法に違反すると指摘したわけです。

ユーザーが付けた点数とは関係なく、プラットフォーム側の意向により恣意的に点数が下げられているという「チェーン店ディスカウント」がなされたため、我々が不当に損害を受けたのではないか、と考えて訴訟に至ったわけです。

司会:「チェーン店ディスカウント」というのは、この場合、アルゴリズムを変更して、チェーン店の評価点数を下げるという意味合いですよね。

:はい、そうです。そして、「チェーン店ディスカウント」は私たち韓流村だけでなく、他の飲食店についても言えることです。

我々が訴訟を起こした当初、我々の調査では約3800事業者が「チェーン店ディスカウントの対象になったとみています。そして、約10万以上の店舗が不当なアルゴリズムによって、評価点数を下げられた可能性があります。

収益構造からみえてくるグルメサイトのやむを得ない事情

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:ただグルメサイトの収益構造を分析すると、なぜ食べログがこのような「チェーン店ディスカウント」をすることになったのか、その理由も理解はできるんです。

食べログの売上には、大きく分けて3つの柱があります。

ひとつは広告費=月額固定の店舗情報掲載費です。1億1000万MAUものユーザーを抱えた食べログには、広告として店舗情報を掲載しようと考える飲食企業がたくさんいますよね。

で、もう1つはユーザーからの収益です。パソコンからは店舗のランキングが見られますが、それがスマホでは閲覧できない仕様になっている。そうするとスマホで見るためには、個人が有料会員になって、「食べログプレミアムサービス」に月400円を払わなくちゃいけない。私自身も有料会員ですが、それが一時期150万人ぐらいまで増えたわけなんですよ。でも会員数もそれ以上伸びなくなったんですよね。むしろが減少した。

なぜかというとパソコンなら無料で見られるのに、なんでそれを携帯でわざわざ400円払わなくてはならないかという批判も募り、ユーザーの支持を得られなかったからです。

そうなると結局、飲食店側からマネタイズするしかないわけなんですよ。有料店舗会員数×単価です。

現在、食べログでは、店舗有料掲載費には、月額1万円のライトプランから、10万円のプレミアムプランまであります。それに加えて、ネット予約の来店人数に応じた従量課金が上乗せされます。しかし、2019年の5月までには有料会員店舗数が5万7900店舗で、頭打ちになって伸びなくなってしまった。

で、そこから売り上げを伸ばす方法を色々考えたと思うんですよね。

そこで生み出されたのが主にチェーン店から収益を上げる方法です。チェーン店は、全国に30万から40万店舗ぐらいありますが、まずはチェーン店をディスカウントの対象として選び、該当する店舗の点数を下げるわけです。

そうなると、チェーン店はユーザーが検索しても検索結果の最下位にしか表示されません。パソコンで見ても、携帯で見ても、点数順で見ても、1番下にチェーン店レストランが表示される。

そうすると、点数が下げられた店舗は、ブランド価値が非常に下がってしまうわけですし、1番下のページに表示されたままでは集客できない。結局、店舗が有料会員になるか、さらに高額なプランに申し込むかして、食べログにお金を払うと上位に表示されるようになるわけなんです。

なので点数が下がってもチェーン店側はお金を出し続けて、点数を上げようとする。

その結果、現在は有料会員店は、6万5700店舗にまで拡大したわけです。コロナ禍では飲食業界が大ダメージを受けたわけですが、食べログは過去最高売上を出しています。

トピック2へ続く→

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