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コロナ禍でファン急増中!安売りはせず、中身で勝負!シェ オリビエのテイクアウトヒット戦略

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① 4月の予約台帳が真っ白に。危機感から着手したテイクアウト

② 安売りはしない!お客様の期待にこたえるべく、価格ではなく「中身」で勝負

③ チラシ投函、メルマガ、店頭ビラ、SNS。全方位型発信で深める新規&既存顧客との絆

④ テイクアウトのキーは「自宅での再現性」。“レンチン”フレンチに挑戦

⑤ VSコロナ時代のリスク分散対策。事業ポートフォリオの見直しから

⑥ Chez Olivier(シェ オリビエ)の店舗情報

仁木 有花

2020年8月14日 · 読了時間:5 分

① 4月の予約台帳が真っ白に。危機感から着手したテイクアウト

② 安売りはしない!お客様の期待にこたえるべく、価格ではなく「中身」で勝負

③ チラシ投函、メルマガ、店頭ビラ、SNS。全方位型発信で深める新規&既存顧客との絆

④ テイクアウトのキーは「自宅での再現性」。“レンチン”フレンチに挑戦

⑤ VSコロナ時代のリスク分散対策。事業ポートフォリオの見直しから

⑥ Chez Olivier(シェ オリビエ)の店舗情報


全国の飲食店が過去に類を見ないほどの甚大なダメージを受けているこのコロナクライシスの中、大幅に減少する売上を少しでも補填しようと、多くの飲食店が取り組んでいる「テイクアウト」。商品のメニュー開発やプライシング(価格決め)、告知方法など、模索しながら取り組まれている方も多いと思いますが、その成否を分ける要因は一体どこにあるのでしょうか。

今回はコロナ禍にテイクアウトの販売をはじめ、ファンをも増やし続けている「Chez Olivier(以下、シェ オリビエ)」(東京・市ヶ谷)のシェフであるオドス・オリビエさんと、代表の千田 麻美子さんに、テイクアウトヒット戦略をうかがいました。

シェ オリビエって、こんなお店!

2009年、東京・市ヶ谷にオープンしたフレンチレストラン。店名の「シェ オリビエ」はフランス語で“オリビエの家”という意味で、「肩肘をはらずにおいしいフレンチを楽しんでほしい」という想いが込められています。その想いの通り、リラックスした雰囲気で進化したフレンチを味わえるレストランとして、ワイン好きをはじめ幅広い客層から愛される名店です。

シェフのオドス・オリビエさん(左)と代表の千田 麻美子さん(右)

4月の予約台帳が真っ白に。危機感から着手したテイクアウト


Q. 緊急事態宣言が発令された前後のお店の状況を教えてください。

千田さん 3月はそこまで影響はありませんでしたが、4月に入ると途端に予約がなくなりました。キャンセルも相次ぎ、新規の予約も入らない状態です。例年ならば、4月は花見や新生活のお祝いなどのニーズで、多くのご予約をいただくのですが、緊急事態宣言が発令された今年は、予約台帳が真っ白になり、売上ももちろん大きく減少しました。これは何とかしないといけない、と強い危機感を覚えました。


Q. 現在のお店の営業状況はいかがでしょうか?

千田さん 現在はソーシャルディスタンスに配慮し、客席を半分に減らすなど、さまざまな工夫をしています。例えば、原則(予約の)回転を取らない、4名テーブルを2名様でご利用いただくなどの対応も行っています。

新型コロナウイルスによる状況の変化もあり、今後はインテリアをグレードアップするなどして、よりゆったりとお食事を楽しんでいただけるよう取り組んでいくつもりです。私たちのコンセプトである「肩肘をはらないフレンチ」は守りつつも、ミシュラン1つ星のさらに上を目指す、そんな挑戦もしていきたいと考えています。


Q. テイクアウトを始めた背景について教えてください。

千田さん 店舗の売上減を受けて、「休むか、営業するか」という選択を迫られました。周りのお店では、休業補償を頼みに閉めているお店もありました。ただ、補償には条件があり、当店は対象外となる可能性もあったので、確実に売上を得るためにテイクアウト販売を開始することを決断しました。比較的早い段階から準備を進めていたこともあって、4月7日に7都府県に緊急事態宣言が発令されて間もない4月10日から販売し始めることができました。最初は店舗の営業と並行しながら、週末を中心にテイクアウト営業を行っていました。(※2020年7月取材時点では、金曜日と土曜日に数量限定販売)

新型コロナ対応後の店内は、ゆったりとした席配置へと刷新

安売りはしない!お客様の期待にこたえるべく、価格ではなく「中身」で勝負


Q. テイクアウトのメニューはどのような内容ですか?

千田さん コース料理を真空パックにして提供しています。前菜やデザートは、持ち帰った後自宅の冷蔵で保管し、食べたい時に取り出したら加熱不要ですぐ楽しめるメニューやパッケージにこだわりました。メインディッシュは、電子レンジで温めるだけで、簡単に召し上がれます。

当初の4,900円の週末コースに加えて、緊急事態宣言下は、平日に2,900円のコースも販売していました。週末コースはトリュフ、フォアグラ、子羊、フランス産鴨肉など、こだわりの食材を使い、ひとひねり加えた料理と本格スイーツのセットです。平日の2,900円コースは、もう少しビストロ寄りのカジュアルな内容で構成しました。どちらも週替わりでメニュー内容を変えていましたね。

週末限定コース(@4,900)は初回発売から人気を博し、多い時では3日間で120セットも売り上げた

Q. メニュー開発はどのようにされましたか?

千田さん まずシェフがアイデアを出して、副料理長や私を含む4名程で意見を出して決めています。メインはお肉の方が人気が高く、売上に繋がる傾向にありました。もちろんお魚を好む方もいらっしゃいますが、色々と試行錯誤した結果、「前菜をお魚、メインをお肉」というのがベースになりました。


Q. 価格の設定はどのようにして決めましたか?

オリビエさん 週末コースは、「週末くらいゆっくりとご馳走を食べたい」というニーズに応えるために考案しました。安すぎるといい素材が使えず、結果お客様の期待に応えられない。かといって、高すぎても買いづらくなってしまう。これはあくまでも個人の感覚ですが、5,000円を1つのボーダーラインと捉えており、そこよりは手頃にしたいという思いがありました。結果、4,900円になったというわけです。


千田さん 食材や包材などのコストを考えて、安売りをせず“適正な価格”で提供するようにしていました。私たちの提供するもともとの価値を下げることはせず、値段ではなく「中身」で勝負することを意識しています。


Q. メニュー選定で注意されたことはなんですか?

オリビエさん 食中毒はもちろん、アレルギーのリスクにも配慮する必要があります。店内利用なら、その場でアレルギーなどを確認できますが、テイクアウトではできません。例えば、ご自宅にお子様がいらっしゃってシェアされるかもしれない。そうなったらお酒を使用したメニューは採用できません。その他、卵も避けました。

あとは、テイクアウトなので、持ち歩きやすさも重要なポイントです。柔らかすぎて型崩れしないように、タッパーの中ですべらないようになど、通常のレストラン営業とは異なる配慮が必要です。当店では、例えばケーキだったらジャムを下に敷くなど、アイデアを出し合いながらメニュー開発を進めました。

4月に入ってすぐ河童橋に足を運び、千田さん自ら包材を調達。その時の様子を「時間だけはありましたからね(笑)」と笑顔で語ってくれた。

チラシ投函、メルマガ、店頭ビラ、SNS。全方位型発信で深める新規&既存顧客との絆


Q. はじめてのテイクアウトとのことですが、集客・告知はどのようにされたのですか?

千田さん 最初は当店が入っているマンションのポストにチラシを入れたり、メルマガ登録をされているお客様にメールを配信することから始めました。集計はしていませんが、両方とも効果はあったと感じています。他には、店頭チラシや公式サイトのブログ、あとシェフやスタッフがFacebook、Twitter、Instagramで英語やフランス語の投稿をしていました。店頭チラシは、特に、新規のお客様が当店を知ってくださるのに役立ちました。


Q. テイクアウト開始後の反響はいかがでしたか?

千田さん おかげさまで反響は良かったです。開始直後は週末コースのみ展開していましたが、好評をいただき、平日コースも受け付けることにしました。5月はGWの予約数が好調で、6月の売上についても及第点というべき結果は出せたかなと考えています。テイクアウト受け取りの行列ができた日もあり、それによって口コミもさらに広がりました。


Q. どのようなお客様がいらっしゃいましたか?

千田さん 既存のお客様や近所にお住まいの方、さらには「前から来たかったけど、子どもがいるので来られなかった」という方もいらっしゃいました。あとはSNSを見たフランス人の常連のお客様にも来店いただきました。お客様からは、「おいしいフレンチを、部屋着を着てTVを見ながら食べられる」や、「お家で気軽に1つ星の味を楽しめる」など、ありがたいお声を沢山いただいています。最初は値段をちょっと高くしすぎたかもしれないと不安もありましたが、おおむね好評です。たくさんのお客様にご利用いただけたのは、11年間積み上げてきた信頼があるからだと思っています。


Q. リピーターの方も多かったですか?

千田さん やはり常連のお客様は多かったです。と同時に、2,900円コースは、平日お仕事後にサッと美味しいものを食べられると好評いただき、はじめてのお客様も購入してくださいました。テイクアウトをきっかけに、新たなファンを獲得できたと思っています。

新しいメニューができるたびに入り口の看板でも宣伝。新規顧客獲得に効果を実感

テイクアウトのキーは「自宅での再現性」。“レンチン”フレンチに挑戦


Q. テイクアウト以外にとったコロナ対策はありますか?

千田さん EC事業も展開を強化しています。テイクアウトとは別に、全国配送できるメニューも提供しています。店内営業の売上が下がる中で、できることは全部やろうと。コロナ禍の特別措置で取得した6カ月限定の酒類免許を使い、ワインなどの酒類販売も行いました。


Q. ECのラインナップが、とても充実していますね。

千田さん 前菜、スープ、メイン、デザートと幅広いアイテムを用意していて、季節ごとにメニューも変えていく予定です。

はじめは、「真空にした商品」を「店頭販売」するところからのスタートでした。4月初めにシェフからの提案でメニュー開発に取り掛かり、栗のスープやパテ、ホタテの白ワインソースなど9種類のメニューを用意しました。その後1ヶ月かけて自社ECサイトを作成し、5月15日からはオンラインでの注文受付を開始しました。もともと真空設備はあったので、配送用の梱包材などを新たに調達しました。現在では料理以外にも、コロナ禍以前から店頭販売をしていたオリジナルのオリーブオイル等も掲載し、合計32種類の商品を取り扱っています。

北は北海道、南は九州まで、全国から注文が入ります。なかには、何度もリピート注文してくださる方や、同業のシェフの方、プレゼントでご利用いただくお客様も多かったですね。本当に嬉しく思っています。

ECサイトでは、アラカルトの他、人気メニューをコース仕立てで楽しめるセットメニューも展開(2020年7月末時点)

Q. 新しい取り組みを始めるうえで大変だったことは?

千田さん 保健所が定める販売許可を確認するなど、ルールを1つひとつ調べるのは大変でした。テイクアウトでお菓子を販売するための許可、惣菜を販売する許可など、それぞれ別に取得しないといけません。少し面倒ではありますが、結果それが、お客様とお店を守ることにも繋がりますので、欠かせない要素ではありますね。


オリビエさん あと、レストランのメニューは季節で変わりますが、テイクアウトのメニューは毎週変えるようにしていて、それが大変でした。テイクアウトのリピーターゲストもいらっしゃったので、過去のテイクアウトメニューとかぶらないよう考案するのは少し骨が折れました。4月のスタートから、3ヶ月で13種類以上のメニューを作成しましたよ!

あとは、ご自宅での再現性。家庭によって電子レンジの性能が違う中で、「いかにお店の味を、手間なく再現できるか」にこだわりました。丁寧な説明書や注意書きを作って、お客様が温める時に失敗しないように配慮しました。調理する時にも、私自身が理想とする火入れの状態をご自宅で再現するには、お店での火入れを何分前で止めるべきかなど、これまでの知識と経験を総動員して、細部まで調整を行いました。


Q. うまくいった要因として、どんなことが挙げられますか?

千田さん 早めに準備に取り掛かったことでしょうか。世の中のニーズが高まるタイミングに間に合わせることができて、GWで早くもピークを迎えることができました。そして、欠かせないのが、日頃からのファンづくり。これは本当に大切で、新型コロナによって改めて実感しました。結果的には、これまでの日々の蓄積が活かされたと感じています。

VSコロナ時代のリスク分散対策。事業ポートフォリオの見直しから


Q. テイクアウトによる売上への影響はいかがでしょうか?

千田さん クオリティを保つためにも、しっかりとコストを掛けていますので、大きな利益を生むわけではありませんが、大幅に減少した来店売上を補填する一助にはなりました。なにより、テイクアウトをきっかけに、新たなお客様との出会いに恵まれたり、常連のお客様との繋がりを継続する良い機会にもなり、(テイクアウトをやって)本当に良かったと思っています。


Q. 現在もテイクアウトやECは続けていますか?

千田さん 7月は店舗を通常営業に戻しながらも、数量限定でテイクアウトも継続しています。今は、4,900円の週末コースのみで、30セット限定とさせていただいています。いつ訪れるかもわからない第2波に備えるという意味でも*1、ECでの販売も引き続き行っていきます。テイクアウトは、やめようと思えば、いつでもやめることはできます。店内予約とのバランスを見て、数量の調整も可能です。今は「とにかくできることをする」こと、状況に合わせて臨機応変に対応することが大事です。

*1…本取材は7月7日に実施いたしました。


Q. これからテイクアウトを始める飲食店へのアドバイスをお願いします。

オリビエさん “ついで需要”に応える「サイドメニューの拡充」も試してみるとよいのではないでしょうか。テイクアウトはお客様が必ずお店に来店されます。その際に、一緒に購入できるサイドメニューがあると客単価アップも狙えます。当店ではコース料理だけでなく、ワインやパンなどの“ついでメニュー”も用意していて、実際にバゲットはかなり人気がありました。その他ポイントカードを作って、ポイントが貯まったらシャンパンをプレゼントするなどのキャンペーンも行っていました。

そして何よりも大切なのは、お客様の立場に立って考えることです。「家までどうやって持ち帰るか」「ちゃんと温めておいしく食べられるか」「手間がかかりすぎないか」などを常に熟考し、対処する。身構えることなく、店内で接客をする時と同様に、お客様にとって安心・安全で素敵な体験を提供することができれば、自然とファンは増えていくと思います。


Q. 最後に「VSコロナ時代」の飲食店には、どのようなことが求められるとお考えですか?

千田さん 正直、型通りの成功事例はないと思っています。お店の置かれた状況や背景はそれぞれです。自分のお店にあった柔軟な対応を、素早く実行することが大切です。
緊急事態宣言が解除されても、ソーシャルディスタンスや新しい生活様式への配慮を行うと、受け付けられる予約数の上限は半減してしまいます。

これからは店舗での飲食以外に、収入の柱がないといけません。リスクをうまく分散させて、事業ポートフォリオの組み立て方を見直す必要があると思います。


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Chez Olivier(シェ オリビエ)の店舗情報

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WRITTEN BY

仁木 有花

埼玉県出身。神田外語学院英語専攻科卒業後、ホテル椿山荘東京(旧・フォーシーズンズホテル椿山荘)へ入社。 10年超にわたり和洋レストランでの現場経験を積み、サービスコンクール等での優勝実績を持つ。2016年に入社し現在は広報を担当。日本ソムリエ協会認定 ソムリエ。趣味は映画鑑賞と柔術。

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