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【代表ブログ】感染拡大と飲食店利用に相関関係はあるのか?

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谷口 優

2021年8月12日 · 読了時間:3 分

わたしたちは、これまで政府による飲食店への自粛要請はデータにもとづく効果検証の上で実施されるべきだと、本ブログを通じてこの一年間訴えてきました。

東京、沖縄以外でも4度目の緊急事態宣言の対象範囲が拡大され、さらに多くの飲食店が、再度窮地に追い込まれる状況になりました。

今回のブログは、「飲食店利用と感染拡大に相関関係があるのか?」という疑問に、当社の来店・予約データ分析から答えようと試みたものです。

感染拡大防止が期待できず、すでに消費者の外出などの行動を抑止する効果が日に日に期待できなくなってしまった「緊急事態宣言」や「まん延防止措置」を繰り返すことに、果たしてどれほどの意味があるのでしょうか?

飲食業界はじめ、あらゆる企業の経済に無意味にダメージを与え続けている現状の政策を続けることに、私たちはデータに基づく事実から反対し、より有効と考えられる対策を提案したいと思います。

データが示す来店者数と感染者数の〝無関係〟

飲食店に対して時短営業や酒類提供自粛など、ことあるごとに自粛要請の対象にされていますが、(菅首相自身が発言したように、)飲食店を主たる感染要因とした対策が有効なのでしょうか?。

そこで、当社の予約・来店データを検証してみました。

グラフ①は東京都内の飲食店の来店人数と新規感染者数推移を示したグラフです。ご覧の通り、4月12日からまん延防止措置、4月25日から3度目の緊急事態宣言、7月12日から4度目の緊急事態宣言による自粛期間だった東京ですが、来店者数はその期間ほとんど一定です。

一方で、新規感染者数は、6月中旬ごろに底を打ち、来店者数が一定にもかかわらず、7月中旬から一気に増加しています。

さらに、東京都は4月25日の3度目の緊急事態宣言から、酒類提供する飲食店に対して休業要請というさらに強い自粛要請を行っているが、その意図とは反対に感染者数は6月中旬あたりから上昇トレンドに入っていることが分かります。

グラフ① 東京都がまん延防止措置の適用を開始した2021年4月12日から8月9日までの東京都内の飲食店の1店舗当たり来店人数週平均と新規感染者数週合計と推移を示したグラフ
表① 東京都がまん延防止措置の適用を開始した2021年4月12日から8月9日までの東京都内の飲食店の1店舗当たり来店人数週平均と新規感染者数週合計と推移を示した表
  • 東京都内の来店者数は4月12日から8月9日の間、自粛要請期間も来店者数の最低値と最高値を比較すると、1.4倍に増加

  • 同期間内の感染者数は、6月中旬以降急増。4月以降の最低値と最高値を比較すると、10.5倍に増加

以上の2点から、飲食店の来店者数と新規感染者数の増減に相関関係はほとんど存在しない、と考えることができるのではないでしょうか。

強い相関関係が認められると言えるのはグラフ②のような「新規感染者数」と「新規死亡者数」の関係です。仮に飲食店利用者の増加が新規感染者数に強く相関しているのであれば、①のグラフも同様の重なった推移を示すはずです。

グラフ② 新規感染者数と死者数の推移を示したグラフ。感染から死亡まで平均して1か月間だと仮定し、新規感染者数のグラフは1か月右にずらしている

一方で、全国の飲食店の来店人数と新規感染者数の推移を照らし合わせてみても、東京都内の数値と同様に、ピーク時期や増減のトレンドがいずれも一致せず、強い相関関係の存在は認められないと言えるでしょう。

グラフ③ 全国の飲食店の来店人数と新規感染者数の推移を示したグラフ。感染原因行動から発症までに要する時間を14日間と仮定し、来店人数のグラフを14日間右にずらしている

〝緊急事態宣言〟では感染拡大を抑えられない

ここまで各種のデータ分析から分かるように、現状の緊急事態宣言やまん延防止措置による自粛要請では、感染拡大を抑えることはできないことが明白です。さらに長期間に及ぶ自粛によって消費者は「自粛疲れ」や「自粛慣れ」から、緊急事態宣言等とは無関係に一定数は外出、外食をする傾向にあると考えられます。

それにも関わらず感染者数は急増し続けていることを鑑みると、飲食店利用とは異なる要因で感染が拡大している、と考えるのが自然でしょう。さらに、以前のブログでも紹介しましたが、自粛期間中は飲食店の店内密度が1.5倍になる等、逆に三密を招き感染拡大を助長している可能性も否定できません。

また、東京都が発表した専門家による「7月29日モニタリング会議」の感染経路別新規感染者数を見ても、感染経路が「会食」である割合は6.1%です。もっとも多くを占めているのが「同居」で55.8%、次に多いのが「職場」で15.4%です。

感染拡大時に真っ先に飲食店に自粛を求めるのではなく、企業に対するテレワーク徹底の要請や家庭内での感染防止対策の周知を徹底すべきではないでしょうか。

もちろん飲食店利用も、感染の一因ではあります。

東京都内の年代別の感染者数を示すグラフ④から分かる通り、若い世代、特に20代の感染拡大が急増しています。これらの若年層がよく利用する傾向にある飲食店の中には、深夜~早朝まで営業し、検温や消毒を求めず、客同士の間隔も極端に狭い状態や、通常のキャパシティを超えて営業しているお店が感染原因となっている可能性も考えられます。

グラフ④ 東京都内の年代別新規感染者数推移を示すグラフ

時短営業・休業要請ではない、本当にやるべきコロナ対応策

さて、ここまでの分析から見えてきた本当にすべきコロナ対応策とはなんでしょうか。

飲食店からの感染拡大を防止するのであれば、

①キャパシティコントロールや営業時間制約の緩和による店内密度の抑制

→店内密度の悪化や、酒類提供する一部店舗に過度に客が集中しないよう、営業時間の単純かつ一律的な短縮ではなく、柔軟性を持たせること。
さらに、キャパシティコントロールや会食人数の制限を同時に要請することで、店内密度を下げ、仮にスプレッダーがいた場合にも感染拡大を最小限に抑えること

②感染源となり得る飲食店に対して対策を徹底させる

→上記1とあわせて感染防止対策を徹底せず三密状態で営業を続ける飲食店に対して、感染対策を徹底させると同時に、感染対策を徹底している飲食店を積極的に周知させ、利用者にそれら飲食店の利用を促すこと

が効果的な施策だと考えられます。

また、飲食店以外に感染拡大の要因があるとするならば、

③短期集中的に飲食店利用に限らずより広範な行動制限を実施

→過去に実施してきた比較的緩い行動規制や一部業界(特に菅首相が7月30日の会見でコメントした通り、飲食店)のみを対象とした規制・要請ではなく、より短期的であっても広範な行動制限を実施

例)

  • 一定人数以上で集合することを禁止

  • リモートワーク比率の達成目標を設定する など

これまでの様々な対策の実施結果を踏まえて、よりロジカルかつ効果的な対策を立案、実行することが可能ではないでしょうか。仮説をもとに計画を立て、実施し、その効果を検証し、軌道修正を行う。これを繰り返すことが民間企業をはじめ広く必須とされていますが、ことコロナ対策に関しては、客観的なデータに基づいた施策がなされているのか、以前のブログ「【代表ブログ】飲食店〝自粛〟に効果はあるのか?データに基づいた効果検証と柔軟な対応を望む」でデータ分析に基づいた対策を提案して以来、何ら変化がないように思い、強い焦燥感を抱いています。

WRITTEN BY

谷口 優

TableCheck代表取締役社長CEO。
CyberSource 日本法人にて営業、リーガル、経営企画を経験後、English OK(のちにピクメディアに社名変更) にて新規事業の立ち上げに携わる。2011年 TableCheck設立、CEO(最高経営責任者)に就任。 "最高のレストラン体験の実現"をモットーに、常にクライアントの立場にたち"使いやすさ"を追求。 現状に甘んじることなく改革していく仕組みを強化し続けている。

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